使い方を知っている会社が、選べる場面では選ばない。 原因は技術ではなく、費用と手間をどこに置くかが決まっていないことにあります。
C・D等級の6割が、すでに経験している
地域を基盤とするC・D等級の企業のうち、ICT施工を経験した企業は58.4%。 2016年度以降に直轄工事を受注した3,287社のうち、1,921社です。
この数字には条件があります。集計対象は直轄工事を受注した企業だけで、単体での元請受注のみ、 北海道と沖縄は含みません。自治体発注が中心の会社や、下請中心の会社は母集団に入っていません。
それでも、直轄を受注する層に限れば、地場企業がICTに触れていないという前提はもう成り立たなくなっています。 半数以上が一度は経験している。経験がないから進まない、という説明では足りなくなりました。
※ C・D等級は、国の直轄工事における入札参加者の格付けのうち、地域を基盤とする中小企業が中心となる区分です。 企業の経営規模等に加え、工事受注や総合評価の参加実績を勘案して定められています。
指定されれば97%、自社判断なら82%
2024年度のICT土工では、発注者指定型の工事が873件公告され、851件で実施されました。実施率97%。 施工者が希望して選ぶ型では1,034件のうち845件で、82%。
同じ年度、同じ工種、同じ制度の下で、15ポイントの差がついています。
会社ごとの事情はあるので、この差だけで原因を特定はできません。 ただ、やり方が分からないから使えないという話ではなさそうです。 使い方を知っている会社が、選べる場面では選ばないことがある。
現場が選ばない理由
3次元データの作成を外注していると、その費用が現場の予算に乗ります。 施工の手間が減っても、現場単位の収支では説明しにくい。 所長が従来工法を選ぶのは、その方が数字が合うからです。
前回対応できた社員が一人しかいない、という状態もよくあります。 会社としては経験済みでも、その人が別の現場に入っていれば、次の現場では使えません。
検査や書類のところで手戻りが出た場合も、二度目の動機は残りません。 工期に追われている最中に想定外の作業が増えた記憶は、社内で長く共有されます。
どれも技術の問題ではありません。会社全体では得でも現場では損になる選択は、 現場単位で採算を見ている限り通らない。負担をどこに置くかが決まっていないだけです。
使えないから選ばれないのではなく、選ぶと現場が損をする置き方になっているのである。
先に決めておくこと
導入や再挑戦を検討するなら、機材やソフトを比べる前に3つを決めておくと、その後の議論が具体的になります。
費用を誰の予算で持つか。
- 選択肢
- 3次元データの作成費を、現場に全額を乗せるのか、本社で持つのか、工事間で按分するのか。
- 決まっていないと
- 活用方針だけ決めても、費用の出どころが曖昧なままでは現場の収支で説明がつかず、選ばれません。
次にやるのは誰か。
- 選択肢
- 前回対応した担当者一人に頼り続けるのか、2人目を育てるのか。
- 決まっていないと
- 育成の工数が工事の中に見込まれないため、その一人が別の現場に入った時点で、次の現場では選択肢から外れます。
何をもって成功とするか。
- 選択肢
- 工期短縮なのか、書類作成にかかる時間なのか、若手の定着なのか。
- 決まっていないと
- 測る対象がないため、一度やってみた結果が記録として残らず、次に判断するための材料になりません。
BOTTISは機器の販売もソフトの開発もしていないので、まず導入しましょう、という提案はしません。 扱っているのは手前の整理です。会社として何を決める必要があるのか、誰が決めるのか、 決めた後に現場で何が起きるのか。書き出して、判断できる状態にするところまでを担います。 見送るという結論になることもあります。
一人でやっているため、扱える範囲は限られています。 開発や機器の選定そのものは、必要に応じて提携先を紹介する形になります。
出典:国土交通省中部地方整備局「事務局からの情報提供」(2025年12月12日)
https://www.cbr.mlit.go.jp/kensetsu-ict/ibent/20251212/data/shiryo_01.pdf
等級別ICT施工経験割合、および2024年度ICT土工の発注方式別実施状況は同資料に基づきます。